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作品集 1  全季雑詠

                            

 炎天へ影滑らせて一輪車

的場主宰
              とろとろと夢の配列鰯雲 的場主宰
              七十路を踏み出す一歩天高し 的場主宰

 

            以下   印は主宰特選句
  梅雨くるぶし撫でてやっこら立ちにけり 難波 満
  明け方の身に夏布団たぐり寄す 勝 一代
  ガラス器に食欲そそる京料理 道上春子
  じんわりと汗かく朝の太極拳 高松勝代
  葛きりやコンチキチンを遠く聞く 池田恵美子
  麦湯にて五人の孫の帰り待つ 田畑房子
  つかの間の暑さ忘るる貴船かな 二宮節子
  秋桜に今日の大空よごれなく 塚田カヅヱ
  「おかけやす」深草団扇風おくる 南 トシコ
   獅林古希瓢箪あまたぶらさがる 大平久子
  これでよし自問自答の秋立つ日 有馬正恵
  うたたねの妻の夕顔重ねけり 久山田鶴子
  れんげ咲き童心のかへりきぬ 都鳥澄子
  昭和九年台風激しき記憶の底 田島一穂
  大夕焼け車椅子ごと妻染まる 竹下一善
  梅雨寒や隣も小窓閉める音 大村佐紀子
  滝凍てて白一色の大屏風 大畑よしえ
  長旅の疲れかくしてサングラス 浅見雲舟
  鵜舟来る乱舞の火の粉前触れに 山下静子
  獅林誌の1000まで届け梅の花 荒木律子
  秋の空パッチワークの棚田かな 森本敏子
  背中にも目のある父の端居かな 東  徹
  その上に童話の空あり立葵 地主重子
  山車の稚児天動説の空めぐる 梶谷予人
  赤とんぼ位置についてのままでおり 乳原綾子
  錦秋に栄えある句座の宴かな 松崎泰子
  銅鐸は土に眠れる月夜かな 乳原 孝
  故里を移り幾年木槿咲く 樋口ゆう子
  ざりがにも蛙も子等の宝物 高島くに
  遠き日のそれだけに買ふ麦こがし 高橋幸子
  もてなしの夏炉主は話下手 今井薹子
  風薫り八百の声して師の笑まふ 三田村 和
  向日葵のふと吾みつむ昼下り 平井孝治
  山桃を噛めば聞こえる国訛 林のぶえ
  新緑の押し寄せて来る車窓かな 福井勝子
  夜べ惜しみ山と積まれし芋茎むく 池木富美子
  ぱりぱりと白菜はがす夕厨 北口秀子
  波の華涼し獅林誌八百号(やお)へ着く 的場ヒサ子
  西方へ返す旋回夏つばめ 橋川斐子
  白き息かけ老婦がめがね拭く 山本フミ子
  子が踏めばガリバーの足蟻地獄 長清水美代子
  木琴のドレミファソラシ葱坊主 村木和子
  句座終えて淀の鉄橋大夕焼け 畑山喜美代
  遺言と遺書との違ひ落し文 天日照子
  頂上を目指す蜻蛉比叡晴れ 森 一心
  若草に母と子繫ぐ糸電話 野口貞子
  教会の朝の鐘鳴る夾竹桃 井上信子
  新涼や仏間の香り清々し 山之口チヤ子
  虫干しやしつけのままの母の帯 森本加寿子
  秋潮へ阿波の大河の果てむとす 須藤みさを
  甚平や親子揃ひの染絣 新居純子

 

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