第九回北嶺忌句会(平成19年1月21日)

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作品集 1

          口裏を合はす視線に冬灯 的場秀恭主宰
 主宰選句  主宰特選句
     古かるた一枚失せし恋の札 今井薹子
     男の子美し初駅伝の権太坂 長清水美代子
     初電話母の元気を貰ひけり 新居純子
     手のひらの力を抜きて雪螢 香田きぬ
     初氷散りし花びら閉じこめて 高砂昭子
     餌づけする孤老に群れる百合かもめ 山浦 純
     臘梅の香にとらはるる歩の緩み 木寺茂子
     初鏡笑ひ皺よと言はれても 今井薹子
     飄飄と生きる本懐冬木立 小原 勝
     杖同志語ることあり日向ぼこ 平山茂子
     何もせぬと言ひつ何時ものお正月 向山純子
     天地澄む新年というこの不思議 古川壽美
     初夢はさめてくやしさ残りけり 松崎泰子
       初詣ご利益求め人溢る 田中幸雄
         熱燗の話はずみて真夜となる 久山田鶴子
     たっぷりと朱色を筆に描きはじむ 大平久子
     豆腐屋の赤き手のひら寒に入る 山浦 純
        昭和もう遠く果てたる七日粥 いがらしかずを
     寄り添うて眠りの違う山二つ 塩坂和子
       お正月生命線を眺めおり 坂口高子
     人波の潜る鳥居や去年今年 東   徹
     すき・きらい浮かべてバラの初湯かな 池田慶子
      変りなく卒寿の身の屠蘇を受く 山本フミ子
     ゆりかもめ水面しづかな空のあり 塩坂和子
     日向ぼこひとり留守居の浄土かな 田中康雄
     居眠りの孫と啜るや晦日蕎麦 国分順一
     寒椿老のことなど云ふまじく 大村佐紀子
     ずずずずい今年もどうぞ亥走る 佐久間静子
     日溜りのバス待つ椅子や寒雀 岡 美智子
     雪中におやまだ残る烏瓜 宮崎善行

                                         
                                                        京都東山  (当日夕刻撮影)

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