獅林九月(豊中)例会 (平成18年9月16日)

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作品集 3

                                                               当季雑詠

 

     ジーンズのぶらりと乾く秋日差 的場秀恭 主宰
         以下 会員作品 は主宰選  主宰特選
 ○ 過ぎし日は皆佳しとして走馬灯 松崎泰子
  鈴虫の骸の軽さてのひらに 駿河谷敏枝
  点滴の雫を数え虫時雨 浅見雲舟
  空深し馬籠の宿の走り蕎麦 田中康雄
  秋花の前に高野槙(まき)出す花屋かな 岸   薫
 ◎ 炎帝に刺ある言葉飲み込みぬ 平井孝治   
  ある恋のとどのつまりの秋刀魚食ふ 乳原 孝
 ○ 手花火に膝小僧抱く少女かな 東  徹
 ○ 秋涼や両手で叩く化粧水 荒木律子
  朝食のセロリをかじる音さやか 大平久子
  二百十日二百二十日と過ぎにけり 森 一心
  コスモスに隙間だらけの風の棲む 塩坂和子
  沖を行く船かろやかに霧の中 久山田鶴子
  地蔵盆手を合す子等のねがいごと 大洞咲子
  ゆるゆると案内(あない)するかに秋の蝶 井上幸郎
  台風の眼の中にあるスケジュール 香田きぬ
  帰燕消ゆノンストップの港外へ 天日照子
  温泉の駅の足湯サービス風は秋 天日照子
  大き網放ってみたき鰯雲 竹下一善
  月光のシャワーを浴びる北狐 竹下一善
 ◎ 秋の雲少女のころの夢に乗る 岡 美智子
  初秋の風と諾なふぼんのくぼ 長清水美代子
  鶏頭の赤窮まりし黒味かな 高原疆次
  お転婆がいつしかお婆敬老日 小原 勝
 ○ 遅れ来し謂わけ忙し秋扇 大村佐紀子
 ○ 穂田奔(はし)る風の煌き親王(みこ)生れぬ 田中芳夫