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作品集 3

       嚔して目に淋しさを充満す 的場主宰
                    印は主宰選句
菜畑に陽を集めをり菊彩々 梶谷予人
イタスケ古墳

狸来て餌を乞ふ仕種冬うらら 

田中芳夫
名月や何者(なに)にもなれぬ吾がいて 山浦 純
  昭和なほ己が背骨に冬の菊 乳原 孝
  手術日の大き赤丸古暦 大平久子
安堵とは布団の裾の小布団 牧瀬祐子
  愚直てふこだわりに生き冬銀河 森 一心
日のかげり早くなりいて歳暮るる 河原豊操
老犬の仏の顔に似て小春 あめ・みちを
冬立ちて始発電車のきしむ音 畑山美代子
  山坂を越えて傘寿や紅椿 畑山喜美代
柿紅葉過ぎし日語る人のなく 松崎泰子
冬の陽に幸うすき掌をかざし見る 菱田加重子
杖つかぬ胸に秘めたる冬構 山浦 純
  もう誰も跳ばない冬の水たまり あめ・みちを
めくるめく事の多かり去年今年 河原豊操
藁屋根の串柿すだれの囲に映えて 山下静子
霜枯のごと愛犬の倒れ逝く 平橋道子
朝刊が時雨で少し濡れており 畑山喜美代
雁わたる影を映さず鳴門潮 梶谷予人
極月の夫婦で植木伐ってをり 大平久子
  逆算の暮し始まる十二月 東  徹
  開戦忌カラオケ軍歌息切れて 田中芳夫
日向ぼこ苦髪楽爪語り合ふ 天日照子
  洗濯を干す手休める鵙の声 畑山美代子
錦なる山里暮れぬ仄明かり 菱田加重子