主宰作品　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　 遠ざかる昭和の記憶卒業歌　　　　　　

　的場  秀恭

  以下会員作品　　　　　○　主宰選句　

　立ち雛一刀彫の潔し

　堀　　  芳子

○

　幸せのあまた集ひて雛句会

　大平   久子

　百の眼のかがやく句座の雛かな

　高橋　 幸子

　梅が香や三便ずらす路線バス

　峯松   秀吾

　恋の歌一句出来そう春の雪

　田畑   房子

　癒えそうな風邪のかけらが喉にあり

　富田   恭子

　春潮や波のくずれのおだやかさ

　柄須賀咲智子

　手作りの雛自慢げに園児たち

　高松   惠子

　へなへなと影の酔ひけり春の月

　池田恵美子

　地の表おおってしまう芽吹きかな

　大原 ふじ子

　春一番幼子とび込む母の胸

　大庭  宣子

　もうすでに目覚めてをりぬ箱の雛

　あめ・みちを

　修行僧の祈る姿の冴え返る

　佐々木まゆみ

　春の月高層ビルが持ち上げて

　川部   秀江

 ○

　生命線見せ合う友と春の旅

　小西   由起

　白酒の勢ひ借りて告白す

　森      一心

　春愁や会釈されても名前出ず

　増岡   一代

　おもてなし百色吐息雛句会

　藤本   政子

　春一番落着きを欠くヘアピース

　阪本      彰

　残雪の地上絵浮かべ伊吹山

　田原   知子

　街道の店それぞれの雛飾る

　野村   朴人

　やさしさに包まれていてふと朧

　藤本   一美

　連中を笑みで迎へる紙雛

  的場 ヒサ子

　春雷やふっ切れしかなこの迷い

  藤原    ナヲ

○

　地球にも寿命ありけり石鹸玉

　松島   圭伍

　花霞追い来て毛馬の堤まで

　岸  　　   薫

　料峭や野路行く吾の靴の音

　阪口      悌

　どこまでも伸びる巻尺春の風

　田中      俊

　鳥の声樹の声くぐり春の水

　根来久美子

  春炬燵古き手紙をなつかしむ

　大本   和俊

○

　蓬摘む媼と子等と雀らも

　友成   陽子