主宰作品             

 　　　　　　　　　　聞き直すこと二度三度花は葉に 　　　　　　　

  的場　 秀恭　

 以下会員作品　　○　主宰選　　　

  貧も富も縁なく生きて豆の飯

  奥村　 遊山   

  風薫る十七音の遊行かな

　長谷川澄江

　胎動は母子の通信風薫る

　森       一心

○

  尾を棄つる決断早き蜥蜴かな

　東　　　 　徹

　紫に粧い高し桐の花

　塩坂　 和子

　葉桜やあの別れこそ恋はじめ

　阪本　　　彰

　廃寺の紋瓦古り雀の巣

　塚田　 和枝

　万緑や盲導犬の瞳濃し

　田原　 知子

　麦酒のむ野山をわたる風を飲む

　門田 てる子

  蒲公英や淀川流水観測所

　田中　 芳夫

　夏燕阿国の剣は左肩

　梶谷　 予人

○

  薫風やなら町の角幾曲がり

　田中　　　俊

　新緑やかきたてられる旅心

　大庭　 宣子

　部屋さえも染め上ぐる色新緑かな

　新居 　純子

　母の日や赤毛のアンは母二人

　小原　　　勝

　山の辺の道すこし逸れ冷素麺

　野村　 朴人

　髪切って五月の風をほしいまま

　向山　 純子

　鋳掛け屋の隣に研ぎ屋花は葉に

　あめ・みちを

　すずらんや少女に淡き変声期

　乳原　　　孝

○

　かたまりているやすけさの金魚かな

　弘　　　　 操

　ポン菓子のおぢさんの来る五月晴

　藤本 　一美

　竹の子のひと節ごとの背伸びかな

　峯松　 秀吾

　特急の窓満載に緑さす

　平田　 市子

　あと戻り出来ぬ人生花は葉に

　阪口　　 悌

　地下を出て奈良のかをりの若葉道

　大平　 久子

　葉桜に集いて乙女声高し

　江草　 純子