主宰作品             

 　　　　　　　　　　葉桜の蔭に待ち合ふ始発駅 　　　　　　　

  的場　 秀恭　

 以下会員作品　　○　主宰選　　　

  計画の首尾良く終り花は葉に

  岸　     　薫

  葉ざくらに翳り戦火の記憶など

　田中 　邦夫

　葉桜やお色直しの吉野山

　高砂   昭子

  葉桜のみどりの奥に風の部屋

　あめ・みちを

　葉ざくらや時の流れに老悲し

　中木村清子

　葉桜や元気に開く古本屋

　田原   知子

　葉桜に風棲む力宿りけり

　角井 くみ子

　葉桜の光と影やわが余生

　森　　　一心

　葉桜や昔母校に尊徳像

　藤本   一美

 ○

　葉桜や老舗引き継ぎ若旦那

　岩佐世紀子

　葉桜や守衛一人の通り抜け

　小原　　　勝

 ○

  葉桜に宴の匂ひなかりけり

　新居   純子

　葉桜や光集めて光り合ふ

　澤田 　稔子

　葉桜の隠れ里訪ふ静ごころ

　奥村 　遊山

　葉桜のすきま隙間は日が埋める

　東　　 　　徹

　葉桜や石磴覆ふ鄙の寺

　田中   幸雄

　舟人となる葉桜に染められて

　駿河谷敏枝

　葉桜や友達もでき下校する

　増岡　 一代

　葉桜や老いた心に影深し

　田中　 秀明

　葉桜や神の水汲む杓の音

　塚田　 和枝

　葉桜の揺れて木洩れ日地に散らす

　阪本　　　彰

　歳を経てなほ葉桜のやうに生く

　峯松   秀吾

 ○

　人疲れして葉桜に来てをりぬ

　長谷川澄江

　一雨去り葉ざくらの朝始まりぬ

　田中   芳夫

　葉桜や旨酒の水湧くところ

　野村　 朴人

　葉桜や湖畔の宿の灯のはだら

　松島   圭伍

  葉桜や夜の神戸は星になり

　乳原　　　孝

 ○

  葉ざくらや去年より小さき鹿せんべい

　大平 　久子

  葉桜や何するとなく聞くとなく

　根来久美子

  葉桜や泣き虫やつと園に慣れ

　田畑 　房子

  葉桜の吹かれて遊びだす日の斑

　田中　　　俊

  葉桜や日毎に伸びる散歩径

　塩坂 　和子