獅林忘年句会(平成18年12月16日)

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作品集 3   当季雑詠

 

        しぐるるや灯れば匂ふ街の軒 的場秀恭主宰
 は主宰選句、 は主宰特選句
  ごうごうと胸に轟く冬の海 小山協子
  落葉踏む音自分今生きる音 小原 勝
 ○ 一匹と一人の夕餉鍋に座す 長清水美代子
 

臘月の紫衣渾身の「命」書く (清水寺貫主)

長清水美代子
  よく咲きし残菊の香を刈り惜しむ 大平久子
  障子貼る慣れた頃には終りけり 山本フミ子
  小春日や母の寝息を包み込む 新居純子
  雪催い柔肌沈める湯あみ宿 小山協子
  冬の雨過去の辛さの上に降る 有馬正恵
  賀状書き筆の穂先を揃へつつ 河原豊操
  風花舞い越前しぶき息つめし 吉村和子
  時雨来て庭の手入れは早仕舞ひ 岡部卓雄
  忘年会度忘れ御仁集まりて 田中幸雄
  仁王の眼するどく光寒暮かな 平山茂子
  足に痣つくりて主婦の師走かな 有馬正恵
  雨予報外れて寒き日ざし降る 木村安子
  水鳥の一斉に向き変えにけり 坂口高子
  冬ざれや歿と朱で消す住所録 田中康雄
  やわらかき冬の陽踏んで影を得る 澤田稔子
  わが死の日如何にと想ふ開戦忌 田中芳夫
  信楽の狸の手にも燗熱し 三木市子
 ○ 縄張りの如き日溜り冬の蝶 東  徹
  七曜日きつちり風邪に明け渡す あめ・みちを
  寂しさを秘めて紅葉のひた燃ゆる 澤田稔子
 ◎ 猫の歩ののろしと思ふ十二月 東  徹
 ○ 枯菊の青きもまじり焚かれけり 安田ミヨ子
  冬帝や筆勢躍る獅林額 (麦浪軒)   平井孝治   
  野仏も小蓑をかぶる冬仕度 角井久美子