獅林忘年句会

電飾の彩あはあはとクリスマス		的場秀恭主宰
○　は主宰選句、◎　は主宰特選句
	逃避てふ布団の中の夢に遭ふ		あめ・みちを
	海に出て木枯肩の力抜く		森　一心
	家族でのランチそこだけ冬日向		三木市子
	散り残る山茶花今日も淋しくて		久山田鶴子
	訛っているようで悴んでいるようで		乳原　孝
	送別の宴の果ての隙間風		高原疆次
	葉を落としきりっと一樹冬を待つ		新居純子
	大根抜く穴の黒々ほのぬくし		安田ミヨ子
	水槽の魚おつとりと忘年会		大平久子
	盗めども尽きぬ隣家の木犀香		山浦　純
○	熱燗の多弁に孫の逃げ隠れ		平井孝治
	じつとしてこの世をつかむ冬の虫		乳原　孝
	生命線も少し伸びよ日記買ふ		篠原美代
	オカリナを卑弥呼は聴いたか冬の月		山浦　純
	冬帽を被りた顔の母に似し		伊藤菊代
◎	時雨来て心の冷えを見透かさる		辻垣内幸子
	年忘れ忘れたくなき事もあり		森本加寿子
○	亥の土鈴部屋に飾りて年用意		中田裕子
○	降り出して公園の石蕗花明かり		山村絹子
	狭し庭掃けど切りなく落葉かな		国分順一
	毛糸玉買ふお日様を買ふやうに		乳原　孝
	寒ければ泣くかも知れぬ救急車		あめ・みちを
	落ちるもの落としつくして冬芽かな		安田ミヨ子
	炬燵置く厨に近き母の席		東　　徹
	年の瀬のテネシーワルツの酒場かな		高原疆次
	降る落葉風の呼吸を聞ひてをり		澤田稔子
	舌頭に拙句千転なめこ汁		梶谷予人
○	パソコンの言ふがまゝなる年賀状		篠原美代
	眼の寒き射手の姿勢の兵馬俑		田中芳夫