獅林五月例会(平成18年5月20日)

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作品集 3

当季雑詠

                      まほろばの寧楽の緑に浸りけり 的場主宰
以下会員作品 は主宰選
  割り切れず遣り場なきまゝまづ新茶 平山茂子
  形而下のまいまいつぶり踏まるるな 梶谷予人
  喪の家やこぼれて止まず花水木 岡 美智子
  スペインのポストは黄色風光る 森 一心
  逃亡の機を窺へり蛇もまた あめ・みちを
  愛用の古りし九谷に新茶汲む 高砂昭子
  緑陰や指吸うて寝る乳母車 島田スマ子
  つばくらめ異国の書簡掌に軽し 塩坂和子
  牛蛙我は都会の田舎者 須藤 操
  卯の花や児等の下校は笛と友 平山茂子
  スキップの五月の少女とすれ違ふ 大平久子
  若葉風袂に入れて紅茶飲む 坂口高子
  新緑や鹿の親子の目のうちも 増田雅子
  春光を啄ばむやうにビーズ刺す 香田きぬ
  母の日の妻に譲りし家長の座 田中康雄
  新緑や人吸いこんでいく大仏殿 宮崎善行
  風鎮を硝子に替へて更衣 東  徹
  電柱に張り紙禁止風薫る 向山純子
  噴水や捨て身は強く生きること 長清水美代子
  風と雲のみ込んでゐる鯉のぼり 角井久美子
  葱坊主はち切れ右脳左脳かな 天日照子
  古都走る車夫に柔しき初夏の風 八尾綾子
  行き戻りして東大寺孕み鹿 浅見雲舟
  新茶入れ幸せ香るうすみどり 木寺茂子
  羅や女将は舞妓上がりなる 竹下一善
  大空へ子に連れらるる子供の日 乳原 孝
  片陰に風の道あり鹿たむろ 塚田カヅヱ
  父に鳴りし草笛吾を拒みをり 高原疆次
  揚雲雀最短距離といふ直線 田中芳夫
  薫る風同席させて茶粥食う 三木市子
  うたごころくすぐる奈良の緑雨かな 岸   薫
 
                                  会場付近(当日撮影)