獅林五月例会

振り向ひて尾を振る犬も更衣		的場主宰
以下会員作品　○は主宰選
	薫風に夢を託して君を待つ	竹下一善
	一陣の風来て藤の揺れのこる	宮崎善行
	仕事了へし人の匂ひや夕薄暑	あめ・みちを
	初つばめ惰眠の街を一撃す	山浦　純
	雨よ降れなめくじ集うカーニバル	山浦　純
	日の翳り拾うて歩む薄暑かな	田中康雄
	忘却てふ箪笥の上のパナマ帽	新居純子
	惜春や古城の堀に鳥一羽	木村安子
	木苺に青の時代のありにけり	梶谷予人
○	降りしきる雨の受け皿花水木	増田雅子
	かぎろへる日本の土に着陸す	香田きぬ
	薫風に乗って女の腰の鍵	田中邦夫
	衣更へ思案の末に髪を切る	坂口高子
	牛車追ふ童の髪の葵かな	井上幸郎
	湧き水の光まろやか山葵谷	角井久美子
○	牡丹の崩れゆく様見てしまふ	馬場豊子
	多数決昼は御握り子供の日	小原　勝
	鯉幟路地に風待ち立泳ぎ	中田裕子
	ビニールの傘新緑の色となり	東　　徹
	風薫る白い上着を着てみよう	大村佐紀子
	薫風と歩いて五分奈良句会	長清水美代子
	居る所探さずおこう鳴く蛙	有馬正恵
	句碑あればつと立ち止る若葉風	塩坂和子
	赤ん坊見せ合う春の日の溜り	塚田カヅヱ
○	ボランティアの顎紐きつく夏帽子	天日照子
	落雲雀自由の空を踏みはずす	田中芳夫