獅林三月例会(平成18年3月18日)

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                    作品集 3  当季雑詠

     石投げる真似に飛び散る恋の猫 的場主宰
       以下 会員作品 は主宰選  は主宰特選
身の丈の梅の香を手で招きけり 松崎泰子
在りし日の如くに吾子の雛飾る 田中康雄
独り居に嬰の来訪初桜 i池田恵美子
鳥帰る空の道にも澪標(みおつくし) 森 一心
昼も夜も落ちつかぬ子の合格す 馬場豊子
  来て見れば土筆小さや野のままに 西脇巳知可
つくし摘み童に返る晴れ間かな 平井孝治   
○  特に目は細くやさしく女雛描く 富田恭子
  大淀の流れゆるやか土堤青む 吉田千代子
  泣き寝入りした児ながむる宵の春 田畑房子
  春泥を抜き足差し足通り過ぐ 二宮節子
春の雪番犬すでに老いにけり 二宮節子
髪切って耳朶しろし春の風 藤井洋子
鶯やこの地に住みて足る暮し 高橋幸子
啓蟄や地下街出口人惑う 田中幸雄
芽柳や風に綾なす日と影と 塩坂和子
雛段にぼんやり灯す宵の口 近藤六合美
折鶴に息吹き込むや梅が杜 荒木律子
かたかごの俯く花の細き茎 福井勝子
山下る水に遊びて春の魚 橋川斐子
春浅し写経に下ろす有馬筆 天日照子
啓蟄のひかり握りて赤子立つ 長清水美代子
ツアーバス蟹膳めざしてまっしぐら 小西由紀
父親の帰りを待たで雛修む 平橋道子
峰白く湖北に運ぶ春の風 川辺秀江
杉林枝打ち響く棚霞 角井久美子
人の声動き始めり朝霞 向山純子
れんげ田に座して花の輪三姉妹 木村安子
もくれんの白ふくらみてゆるむ風 木村安子
塔の首霞みて見ゆる遠景色 道上春子
ひ孫居て昔ばなしの春炬燵 柄須賀咲智子
初蝶の黄を見せすぐに姿消ゆ 高島くに
手作りの蕗味噌含むおちょぼ口 三井満子
老いてゆくこともよかりと桜(はな)の下 中野早美
針先に拾うビーズや春の宵 大平久子
三輪車往った来たり露地うらら 山崎貞子
声かぎり叫びたくなる春の山 高松勝代
沈丁花歩き初む子につちふまず 里西美佐子
句に遊ぶうれしき縁入彼岸 里西美佐子
啓蟄の食虫植物開き出す 乳原 孝
山独活のうすきみどりを和へにけり 梶谷予人
茶髪子の変わらぬ涙卒業す 梶谷予人