獅林奈良例会(平成23年5月21日)

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作品集 1  兼題 「いちご」

 

    主宰作品             

           あの二人どこかお似合ひ苺食ぶ        

 

  的場  秀恭 

 以下会員作品   主宰選   

 

  ささやかな幸せの味苺味

  平田  市子

  

  山歩き孫と分け合ふ草苺

 中田  裕子

 

 蔕(へた)取られ恥づかしげなる苺かな

 森     一心

 

  眠る子の口に苺を食べしあと

 向山   純子

     

 どこまでが夕陽の色か草いちご

 田中  邦夫

 

 いちご買ふ八十五回の誕生日

 大村佐紀子

 

 食べ放題のときめきに摘むいちご

 大平   久子

  

 悪女にも善女にもなれず苺食ぶ

 岡  美智子

 

 不機嫌に噛めばいちごの甘い汁

 田中     俊

 

 聞き流す母の繰言苺喰ぶ

 新居   純子

 

  野いちごや幼なじみの記憶摘む

 乳原    孝

 

 苺手に子の乱暴を謝りに

 小原     勝

 

 モンローの口元まねて苺食む

 宮崎   善行

 

 いちご食ぶ幼の笑顔とびつきり

 駿河谷敏枝

 

 いちご置く皿に目移りふたつの子

 阪本     彰

 

 愚痴も聞くケーキの上の苺かな

 東     徹

 

 ひと籠を見舞にしたき苺摘む

 大庭   宣子

 

 野苺や少女に想ひ育ちをり

 香田   きぬ 

 

 平城山(ならやま)や食べ放題の苺摘む

 角井 くみ子

 

 鉢植の苺一粒摘み迷う

 森中   繁子

 

 しつとりと甘みほどよく優るいちご

 島田 スマ子

 

 句友ありて耐へし闘病いちご買ふ

 野村   朴人

 

 露地ものの粒の揃わぬ苺かな

 高砂   昭子

 

 手に余るいちご一人で食べたがり

 増田   雅子

     

 切り分けたるケーキにいちご一つづつ

 あめ・みちを

 

 愛らしき苺をつぶす流儀かな

 岩佐世紀子

 

 朝採れの苺を唇へ濡れしまま

 井上  幸郎

 

 片意地をとほして寂し蛇苺

 高原   風太

 

 この色に毒ありますと蛇苺

 池田   慶子