第七回北嶺忌句会

世に疎く生きる幸せ日脚伸ぶ		的場主宰
以下　○は主宰選　◎　は主宰特選句
	初鏡晩年の母ありありと	八尾綾子
○	幼なより順に鈴振る初詣	山本フミ子
	旅立ちを祝う集いに福寿草	久山田鶴子
	初雪や子を待つ薬缶湯の滾る	藤井洋子
	鳥翔けて寒気が動く白い朝	塩坂和子
	わけもなく只人恋し餅を焼く	山本フミ子
	雪やみて木々誇りおり輝きて	西村伊一郎
○	寒便り夫逝きて候泣きて候	篠原美代
	二番目の曾孫は男子（おのこ）酉の初春（はる）	古川壽美
	ささめ雪母の形見の衣纏ふ	岡　美智子
	膝見せて寒風の中女子学生	谷口志津
	ありし日を偲ぶ遺墨の冬座敷	山本フミ子
	寒雀ほのぼの日ざし呼んで来る	岡　美智子
	初雪は積もらず夜半の雨の音	大村佐紀子
	餅に罅地球に地震の荒き疵	長清水美代子
	寄せ鍋や人それぞれに幸ありぬ	荒木律子
	三寒や伊達の薄着で四温待つ	菱田加重子
○	此処でしか会えぬ顔ぶれ囲炉裏通夜	須藤　操
○	朝市の一番客やどてら着て	浅見雲舟
	つれづれのひとり占ひ春の風邪	大村佐紀子
	たくましき蕾を上げよチューリップ（新同人の方々へ）	大平久子
	手術日の近づく恵方詣かな	大平久子
	ダムとなる村冬芽木のみっしりと	長清水美代子
	砂文字を波が連れゆく小春凪	須藤　操
	毛糸編む女は膝でもの思う	塩坂和子
	春着きて形見の帯や黒の繻子	平橋道子
○	「見て下さい」八百号（やほ）余の梅の馥郁と	岸　　薫