第七回北嶺忌句会(平成17年1月29日)

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                  作品集 2

        猫が貌すり寄せて来る四温かな 的場主宰
                              以下 は主宰選  は主宰特選句
  労わられ移せば治る春の風邪 小原 勝
一丈に自己を拡げて初湯かな 有馬正恵
  ほんのりと嶺より冬陽とどきけり 高橋幸子
  ひびのある土鍋なだめて小豆粥 岸  薫
重箱の緊張解けし二日かな 岸  薫
  雪国の日暮そのまま影となる あめ・みちを
  モネ展を出るや溜息白くして 藤井洋子
  街中に大胆不敵寒鴉 大洞咲子
  虎落笛法師の湯宿の長廊下 八尾綾子
  去年今年師の導きのあらばこそ 馬場豊子
  コンビニが真昼の孤影寒月夜 山浦 純
  冬すみれ遠き日の夢持ちつづけ 塚田カヅヱ
  大寒の音には輪郭ありにけり 香田きぬ
  膝ついて母追ひ焚きの火吹竹 松本忠重
  子の声にほろりこぼれし雪の花 池田慶子
  寒暁やあれから十年神戸の灯 森 一心
  子のくれし温泉せんべい冬ぬくし 島田スマ子
  手毬唄全部憶へてゐる不思議 大村佐紀子
  ぎょうさんに春着行かはる祇園坂 井上幸郎
  憂さ辛さ棒にて払い新年(とし)迎ふ 堀江政子
  まなうらに師の温顔(かほ)巡る北嶺忌 松崎泰子
  前略に略せぬ過去へ雪はげし 乳原 孝
  集いしは師の懐に北嶺忌 池田慶子
それなりに老いをつくろひ初詣 河原豊操
  薄氷を踏むごとあなたを傷つけて 香田きぬ
  砂紋引く僧の抜き足冴え返る 竹下一善
  初句会姉三六角京の街 井上幸郎
  鴉来て仰々しくも御慶かな 今井薹子
  料理とは女の伝承大根むく 谷口志津
  あっさりと其の日の別れ寒の雨 有馬正恵
  先の師の足跡巡る北嶺忌 富田恭子
  日脚伸ぶ曲り角なき螺旋階 塩坂和子
  木のぬくみ抱きふくろう彫りにけり 高橋幸子
  幸せやなみの生活(くらし)の去年今年 荒木律子
膝を蹴る小さき足や日向ぼこ 畑山喜美代
わが死後も猫生きをらむ日向ぼこ 田中芳夫