主宰作品

　　　　　　　　　あるだけの日向を埋めて銀杏散る

　的場秀恭主宰

以下会員作品　○主宰選句　◎主宰特選句

　　　 冬の海磯打つ波が吠えている

　国分順一

 　○

　　　大手術乗り越え退院冬薔薇

　平橋道子

　　　闘病の句友はいかに冬の月

　大平久子

　　　散ると決め紅葉最後の化粧かな

　森　一心

　　　日溜りで猫の転がす毛糸玉

　中田裕子

　　　隙間風例年通り又お越し

　平井政博

　　　最後まで鉛筆に芯十二月

　乳原　孝

　　　新米を先祖に供へ孫に説く

　大森利治

　　　大根の艶やかな肌買い求む

　辻垣内幸子

　　　かぶら切る土のにほひや母の顔

　森本加寿子

　　　靴音の凍ててこの町動かざり

　田中康雄

　　　平日の礼拝堂や花八ﾂ手

　木匠冨佐子

 　◎

　　　一人居のりんご食む音生きる音

　伊藤菊代

　　　開戦日むかしは日本男児ありき

　田中芳夫

　　　不器用が自慢となりし日向ぼこ

　山下静子

　　　退院の日は冬日和パジャマ脱ぐ

　田中　俊

 　◎

　　　ネクタイは赤で勝負の十二月

　小原　勝

　　　大木の身を抜け出して銀杏散る

　的場ヒサ子

 　◎

　　　み佛のみ手の上なる去年今年

　平井孝治

　　　てのひらに咳を包みてをさめけり

　あめ・みちを

　○

　　　一文字に示せば「光」十二月

　東　　徹