主宰作品

　　　　　　　　　おほかたは幻として日記果つ

　的場秀恭主宰

以下会員作品　○主宰選句　◎主宰特選句

 　　ふりかへり喜怒哀楽の年流る

 中田裕子

　　　開戦忌生かされてこの酒旨し

　田中芳夫

　　　肩車の特等席でルミナリエ　（神戸）　

　大平久子

 　○

　　　日のかけら纏い枯葉の降り頻る

　岸　　薫

　　　良き年と朱筆で誌し日記果つ

　森　一心

　　　みどりごの紅葉持つ手の覚束な

　増田雅子

      大江山鬼の棲み処も山眠る

　平井政博

　　　公園をそぞろ歩きの小春かな

　森川繁子　

　　　猫といふ冬日ひとつを膝の上

　乳原　孝

　　　息白き犬と朝礼いざ散歩

　小原　勝

　　　白雲の走りて歳を締めくくる

　岡部卓雄

　　　散り敷きてからから乾く紅葉かな

　的場ヒサ子

　　　八十路過ぐ友の手優し小六月

　山村絹子

　　　麦の芽の一寸に描く未来像

　有馬正恵

　　　極月や孫居る部屋の障子貼る

　大森利治

 　○

　　　花鋏止めて眺むる返り花

　平井孝治

　　　山茶花の一輪に気づくわれとなり

　伊藤菊代

　　　猫背にも油断のなかり日向ぼこ

　東　　徹

　　　師走きて木々に灯りのともる夜

　大本和俊

　　　霜柱踏み込む音の深さかな

　田中　俊

　　　苦も楽もとりどりありて暮れとなり

　森本加寿子

　　　手袋の五指深くして約束す

　あめ・みちを

　　　ぽつねんと冬菜一束残りをり

　平橋道子

 　○

　　　風に揺れ天の星掃く枯銀杏　　　

　田中康雄