主宰作品

　　　       　　　見残しの夢にこだはり初みくじ

的場   秀恭

以下会員作品　　　◎　主宰特選句　　　　○　主宰選句　　　　　　

 風を追ふ雪のありけり女かも

 宮崎　 善行

 寄添うて支へ合ふ旅日脚伸ぶ

 小原    　勝

 みやげなく寝た児を撫でるイブの夜

 いがらしかずを

 微笑みに返へす微笑み初鏡

 阪本      彰

 頬白や日当る石は耶蘇の墓

 松島   圭伍

 手袋の編目突き抜く冷気かな

 江坂志津子

 まっさらの雪野を削り犬駆ける

 田原 　知子

 寒の喪や死なぬつもりの顔揃ひ

 稲井　 優樹

 希望の日待ちいる子等よ冬木の芽

 堀　　  芳子

 凍て道をペンギン歩き真似てみる

 香田 　きぬ

 父を真似ね目深く被る冬帽子

 大本　 和俊

 さへづりの恋風立てて枝渡る

 峯松　 秀吾

 暖色の並ぶケーキや春近し

 大平　 久子

 　　○

 湯豆腐の鍋つつく夫白髪増ゆ

 仲田　 英夫

 神苑に疏水の流れ寒蜆

 堀　　  芳子

 雪と欲積るほど道見失ふ

 奥村　 遊山

 冴え返る橋のたもとの待ちぼうけ

 大本　 和俊

 北嶺忌みな晴れ男晴れ女

 森 　   一心

     ○

 マスクとって日頃の疎遠侘びにけり

 井上   幸郎

 春隣椅子を回して女医笑めり

 あめ・みちを

　○  　

 日溜りの客待つタクシー春隣

 増田   雅子

 田中   康雄

 石を彫る鏨の響き日脚伸ぶ

 田中      俊

 旋律の予感などして春の雨

 河合   和彦

 磨かれて硝子戸?む寒さかな

 あめ・みちを

 ハルカスの威風堂堂初景色

 岸　　　　 薫

     ◎

 真っ新な主治医の白衣年新た

 香田 　きぬ

 マスクして言葉の棘を温める

 いがらしかずを