獅林寝屋川例会(平成25年3月2日)

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作品集 3  当季雑詠

 

  主宰作品         

           駆け抜ける夢を手繰りて卒業す         

 

 

 的場  秀恭

 

  以下会員作品     主宰特選句     主宰選句 

 

  物語始める予感青き踏む

 森     一心

 

 湯豆腐や膳に向いて話し合い

 川口   静穂

 

 ゆるやかに釣糸たれる四温かな

 藤本   一美

 

 春の川遅速のありて陽をながす

 塩坂   和子

 

 自転車の連なる土手や春の昼

 的場 ヒサ子

 

 春光の一歩に満ちる歩の軽さ

 大竹   昌子

 

 教皇の退位の日なり鳥雲に

 野村   朴人

 

 金婚のひひな優しく艶失せず

 高松   勝代

   

 春寒の軒かりて食ふ酒饅頭

 根来久美子

 

 茶柱のよろよろ立ちて春隣

 田畑  房子

 

 朝の日にふふつと笑ふ生駒山

 三井   満子

 

 潮騒の届く校庭春休み

 松島   圭伍

     

 梅林やほのかな紅の雲なびく

 澤田   稔子

 

 筆持てばまばたきならぬ雛の目

 高橋   幸子

 

 ヒヤシンス根力持ちて咲き匂ふ

 富田  恭子

 

 薄氷の手水の柄杓そつと置き

 藤原   ナヲ

 

 幸せは梅の香りの中にあり

 荒木   律子

 

 平凡を平和と読んで目刺焼く

 東         徹

 

 渓の水汲めば春光零れけり

 田中   康雄

 

 春泥に滑りし足の重たさよ

 川部   秀江

 囀りの声真似てみる厨かな

  田原   知子

 

  幼子のかけ出す小道草萌ゆる

  佐々木まゆみ

 水温む海の中には魚の道

 乳原    孝

 

 新若布椀で広がり海の色

 高松   惠子

 

 憎めぬと言はれる悪さ春一番

 小原   勝

 

 春と云ふ字のもつふしぎ気が弾む

 小西   由起

 

 よもぎ摘み土の香りも摘み入れて

 柄須賀咲智子

 

 蛇穴を出て日を浴びてゆく長さ

  田中      俊 

 

 比良で解け湖に注ぎし春の水

 峯松   秀吾

 

 白酒をとろとろ飲みて酔いにけり

 増岡   一代

 

 京の町人気少し小雪ふる

 道上   春子

 

 春陰やリハビリの妻歩歩に歩歩

  梶谷   予人