主宰作品

　　　       　　　胼の手を組み替へて聞く長談義

的場   秀恭

以下会員作品　　　○　主宰選句　　

 ○

 重箱の光の鈍き三日かな

 乳原      孝

 １（いち）といふ数字凛凛しき初暦

 東         徹

 一椀に溶け込む暮し葛湯吹く

 大庭　 宣子

○

 七十五我も過客や松の内

 井上　 幸郎

 寒林のからから響く孤独かな

 大庭　 宣子

 甘き根が好きで大好き菠薐草

 根来久美子

 冬の夜の口の渇きし目覚かな

 久山田鶴子

 白銀の欠片降り舞う北嶺忌

 平田 　市子

 着ぶくれて路地に挟まる影法師

 阪本      彰

 笑む嬰（やや）に指を握られ暖かし

 中田 　裕子

 妻去りし後の寂寥林檎むく

 野村　 朴人

 玻璃に描くへのへのもへじ外は雪

 田中　    俊

 雪だるま夜空に一人泣いている

 乳原　　  舞

 円周で測れぬ重さ寒卵

 岩佐世紀子

 爪紅く塗れば大寒退散す

 乳原　 綾子

 薄氷のこころもとなく掌に溶けり

 中田　 裕子

 父の手で大きく育て雪だるま

 増田　 雅子

 無駄買ひと思ひつ求む福袋

 森本加寿子

 しんしんと降る雪重し旅の宿

 田中　 幸雄

      ○

 着ぶくれて忘れ上手になりにけり

 いがらしかずを

      ○

 もうだめはだめと心に去年今年

 根来久美子

 隠元の揮毫の寺の庫裡冴ゆる

 上野　 和子

 初茜時代創るは楽天家

 森　  　一心