獅林三月例会(平成17年3月19日)

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                       作品集 3  当季雑詠

     啓蟄や何処まで行ける車椅子 的場主宰
                 以下 会員作品 は主宰選  は主宰特選句
往き過ぎてまた歩を戻す初音かな 梶谷予人
春かなし日本の自由ニートとは 田中幸雄
桐一葉家の匂ひの蔵残る 平井孝治
猫の子の特等席を知り尽くす 三木市子
春泥を老ひの歩幅でまたぎけり 松崎泰子
春一番競馬新聞空を舞う 松井栄三郎
幼な子の片言もれて春立ちぬ 木寺茂子
みずうみの廣さに散りて蜆舟 浅見雲舟
少年に兆す秘密や桃の花 山浦 純
春水のふくらみ速し山河かな 平井孝治
梅日和額に大の字宮詣り 平山茂子
春泥や校門に佇つ警備員 平山茂子
ほめられし二日続きのいかなご煮 福井勝子
風の駅過ぎ陽炎の駅に着く あめ・みちを
辞書になき新語が殖えて山笑う 塩坂和子
啓蟄や振袖をとめ現れり 平山茂子
筋書の無き人生や木の芽吹く 田畑房子
ステッキの振り軽やかに青き踏む 高松勝代
歳時記を枕に春眠貪ぼれる 三木市子
額縁の祖父母も見てる新学期 有馬正恵
陽炎やテニスコートの声はじけ 柄須賀早智子
後ろ髪見つめて遠し卒業歌 乳原 孝
訥訥と一部始終や春炬燵 小原 勝
子の息が青空に翔ぶしゃぼん玉 山崎貞子
宅配便里の山河の蓬餅 長清水美代子
春うらら書ひもときての旅路かな 西村伊一郎
何の科受ける目鼻や花粉症 天日照子
春場所や四股ふむ力士の幼な顔 道上春子
転びては笑ふほかなし春の泥 竹下一善
愛想もまことよろしき草だんご 荒木律子
争ひて心乱して青きふむ 八尾綾子
磨かれて床黒々と春明り(曼殊院にて 山口房子
さまざまな恋の果なる子猫かな 篠原美代
背合わせのいとけなきかなとよす雛 大平久子
早春の耳朶光るイヤリング 藤井洋子
花万朶廃校となる坂の道 岡 美智子
張りついてそっと微笑む犬ふぐり 西脇巳知可
歳時記とテレビリモコン春炬燵 井上幸郎
薄埃している桟の春障子 池田恵美子
若草のほぐるる風に身をひたす 高橋幸子