獅林寝屋川例会(平成20年3月15日)

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作品集 3  当季雑詠

 

           行く雁や次第に細る人の義理

                                               的場秀恭 主宰

以下会員作品   主宰選   主宰特選

 

  桃の花おねんねはなしに眠りおつ

 大平久子

 

 朝霞薄く棚引く瀬戸の島

 堀 芳子

 

 恋猫の意気揚揚と戻りけり

 田畑房子

 

 語り種(ぐさ)となりしお顔の古雛

 三井満子

 

 啓蟄や人も小鳥も弾む里

 勝 一代

 

 しみじみと今語りおり土筆手に

 久山田鶴子

 

 枯れしもの土にかへりて草若葉

 山本フミ子

   

 耳朶にふれる風心地よき春の音

 大庭宣子

 

 幣のごと神話の浜に干鰈 

 池田恵美子

  

 結納にもう行くのかと孫の春

 平井孝治

     

 お手玉の小豆の音や春の雪

 山崎貞子

 

 口漱ぐ水ぬるみたり東大寺

 清水良三

 

 読み了えし一書の余情春の雪

 山崎貞子

 

 蕗の薹顔を出したる陽のたまり

 高島くに

 

 今日もまた静かに暮れて春の雨

 樋口ゆふ子

 

 春雨にぬれし歩道や夕日跳ね

 有馬正恵

 

 春の闇あわや火の穂に二月堂

 馬場豊子

 

 止むとみて又降りつゞく梅の径

  塩坂和子

 

 七十路の夢尚持ちて青き踏む

 柄須賀咲智子

 

 雪吊や加賀には加賀の匠あり

 山浦 純

 

 ゆくりなく友と出逢し梅の中

 川部秀江

      

 お見舞の花束に春つめこんで

 駿河谷敏枝

 

 テーブルに春日射し込むティータイム

 道上春子

 

 月朧言の葉いつか消へゆけり

 澤田稔子

 

 母と子の公園デビュー春の色

 森 一心

 

 啓蟄や母にちよつぴり児が理屈

 田中康雄

 

 朽野の道は夢まで続いてる

 平田市子

 

 春場所の用意へ向かふ下駄の音

 増田雅子

 

 鳥雲になんぞ固しや壜の蓋

 高橋幸子

 

 梅林の日向日向を歩みをり

 浅見雲舟

   

 京菓子の半紙に遊ぶ春の風

 乳原 孝

 

 春愁や本に栞りし古葉書

 岡美智子

 

 初蝶の降り立つ一花未だ蕾

 あめ・みちを

 

 喜びは手放しがよしチューリップ

 東  徹

 

 しなやかな風受け固き柳の芽

 島田スマ子

 

 強東風に白く歪みし昼の月

 高原疆次

 

 双子乗りの乳母車ゆく春の風

 梶谷予人

 

 二月堂春の光の火の粉降る

 小原 勝

 

 山を縫ふ千本鳥居春の雪

 井上幸郎

 

 せせらぎの音は光に水温む

 井上幸郎