獅林第十回北嶺忌句会(平成20年1月19日)

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作品集 2

主宰作品        残照をまとひ春待つ石地蔵   

                                                     的場秀恭

以下会員作品 (主宰選句、主宰特選句)

 

   北嶺の白きに映えし今朝の春

  池田慶子

   

  初詣五指では足らぬ願ひごと   

  田中康雄

 

  時雨るるも鷹鷲二峰薄日射す(鷹ヶ峯光悦寺)

  田中湖風子

    

  初かがみ母似の眉に語りかけ

  中田裕子

 

  武士の世の領主さながら屠蘇の座に

  平井孝治

 

  地球儀に光と影や初明り

  乳原 孝

   

  ひかり得て樹氷きらめく八甲田山

  久山田鶴子

 

  裸木や空より広いものはなし

  井上幸郎

 

  ポスト今日枯葉一枚届きけり

  香田きぬ

 

  風邪寝してか弱き声を使いけり

  高原疆次

 

  一瞬を海と引きあふ初日の出

  大村佐紀子

 

  枯れきつてなほ光るもの宿しけり

  宮崎善行

 

  重箱の底光りする初明り

  高原疆次

 

  冬銀河夜の冷気をぐいと呑む

  山浦 純

 

  細帯をきりりと締めて初稽古

  森本加寿子

 

  広すぎる風の空あり冬の星

  塩坂和子

 

  もったいないもったいないと着ふくれし

  池田慶子

 

  大寒の音の形がみな尖る

   乳原 孝

 

  寒風や素直に組める妻の腕

  いがらしかずを

   

  三が日あつといふ間にまた二人

  井上幸郎

 

  毛糸編む娘の追憶を指先に

  中田裕子

 

  陽を溶かし自ら光る冬の川

  梶谷予人

   

  屠蘇受けて深々動く喉仏

  安田ミヨ子

   

  余白には余白の思い古日記

  塩坂和子

 

  初ミサや布衣の身なれどスーツ着る

  野村朴人

 

  いつもより少し紅濃く初鏡

  澤田稔子